久々に”靴”でときめいた。
自分たちの足元を彩ってくれる新しい靴ってなんだろう?と近年悶々としていました。

MINEZO SPORTS SHOESのデザイナーでもある廣瀬さんとは昨年から同ブランドのイベントを通して、お世話になっております。前回会期中に彼が着用していた不思議な形状をした革靴が気になりまして。どうやら、彼がデザインに関わっているプロジェクトの一環だということで話が早い。今年2月頃に新小岩にて催されたAKANISAIプロジェクトにお邪魔しました。
この企画にはもう一人大切な仕掛け人がいます。この靴の立案者でもある三枝被服設計事務所の三枝さん。彼は静岡の地で、 自身のアトリエに篭って洋服の研究を日夜取り組んでいます。服を解体して、パターンや素材を考察。生粋のデザインオタク的な感じでしょうか。実は、ぼくの前職の先輩だったとは…。よくよく考えたらお会いしたことがあるような、ないような。ただ何か因果は感じましたね。
このプロジェクトで生まれるものは各々が過去のプロダクトからインスパイアされたデザインをベースに、現代で新しい形を作るべくそれぞれに立案・作成していく。これは個人的にも大好物な考え方。闇雲に新たなデザインを求めるのではなく、現存する形に対して向けられた敬意と熱量。そしてロマン。基本的には何かの変化形でいい。ある種完成されたデザインに対して、違和感を持ち破壊するという新たなアイディア。恐らく90年代から変わらない服の在り方として今も続いている。今回のこれもそんな存在。
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☆ Release product
AKANISAI – Gurkha sandal –
Size / 23.5 , 24.5 , 25.5 , 26.5 , 27.5
Material / Calf leather
Color / Black , Ivory Punching
Price / ¥89,100- intax (black) , ¥93,500- intax (ivory)
※普段ご着用のサイズより、ハーフサイズダウンのイメージでお求めください。
※購入方法は即売(弊店在庫分)・受注(2-3ヶ月)からお選びいただけます。
※受注の際は、全額 or 半金をデポジットとして頂戴します。

下記、AKANISAIプロジェクトからのメッセージ。途中から「はて?」となる内容かもですが、彼らがやりたいことが論文として記されております。考え方としてはとても共感できる。ご一読ください。
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📖 題名 19世紀フランスの栗皮剝き用オーバーシューズ構造を利用したグルカサンダルの相対的評価
著者 廣瀬友和 三枝学
発行年 2023
資料番号 A2S – 001
分類レザーシューズ レザーサンダル

①仮説形成
立案者 : 三枝学 (三枝被服設計事務所)
カナダのバータ靴博物館に収蔵されている、栗の皮を剥くために作られた19世紀フランスの靴の資料をもとに、オーバーシューズならではの独特な構造をベースに全く新しいアプローチのシューズは作れないか。
実行者 : 廣瀬友和 (ヒロセシューデザイン)
三つのパーツを分割してできるオーバーシューズの構造は、水はけを考慮したデザインのグルカサンダル(フィッシャーマンサンダル※1)のデザインに応用できる。分割構造を活用し、通常のグルカサンダルでは解決できない、足幅の広狭に対応可能な機能を付与した製品の開発を目指す。
※1 / 日本で言われる”グルカサンダル”は高温高湿度の地での活動を必要とする軍隊用の通気性に優れた靴を起源とするが、その源流はフィッシャーマンサンダルと言われている。海で素早く水を切る靴を必要としていたヨーロッパの男達が数千年も前から履いていた靴が起源と考えられる。
画像出店 : バータ靴博物館インスタグラムより (The Bata Shoe Museum Collection)


②実験・検証
グルカサンダルはつま先から甲にかけてセンターストラップが伸び、何本かのサイドストラップを間隔をあけてソールと繋いでいるのが基本的な構造であり。ほぼ全てのメーカー、ブランドはこの構造を踏襲しており多様性に欠ける。センターストラップを脊骨、サイドストラップを助骨と例えると脊推動物的構造となるグルカサンダルに対し、言うなれば外骨格を持つ無脊推動物的構造体の新しいグルカサンダルの構造を検証する。
既成靴を選ぶ上で最も課題となる、足幅の広狭、甲の高低に対応するため、前足部のパーツを4分割しサンプルを作成、検証したがフィッティングに難があった (画像2枚目)。そのため2分割でサンプルを作成した所、上記の課題に至った。


③考察
中心線に沿って高強度のゴムが配置され、通常のグルカサンダルでは調整不可能であった足囲の広狭にも対応する新しいグルカサンダルの完成に至る。センターストラップは中心線に分断し、内外二つのパーツで構成されたアッパーは、縦の線が強調され、グルカサンダルならではの野暮ったさを軽減するという視覚的な効果も見られた。
「通気性の高い楽に履けるレザーシューズ」というグルカサンダルの特徴に対し、大きく異なる構造から収斂進化的に機能を同とするシューズを生み出す工程は、真の意味で「新たなデザイン」を生み出す方法として今後も活用が可能と考える。
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ここからはこの世で一番わかりやすいぼくの解説。
グルカサンダルのデザインはジャコメッティが我々界隈では近年有名なプロダクトですかね?前職でセレクトしていて、個人的にも体感してきた感想を一言、 ”固い”。革の種類や足の相性にもよるので一概には言えません。ただぼくには合わなかった。グルカのデザインは本当に好き。冬でも靴下サンダルで足元を軽く見せるスタイリングがありなんだと気付かせてくれた思い出の品でもある。でも固かった。そして痛かった。
既成靴なので足の相性もありますが、足のワイズが細い僕には、ベルトでしっかり締めても最終革が伸びて中で泳いでしまい疲れる。フィット感の問題ですね。なので、買っては手放してを繰り返した問題解決できなかったモノ。それがぼくにとってのグルカサンダルでした。

AKANISAIはその点を解消した。そのためのゴム(エラスティック)仕様。
これがすごく考えられていて、履くと本来ありえない靴の中央箇所が伸びる。体感したことない履き心地でした。文献にも記載されている”調整不可能であった足囲の広狭にも対応する新しいグルカサンダルの完成”。サイズが合わないって人は皆無に近いはず。



あとね、靴底。革底に見えて実はラバー。共に古くからある日本製のソール。とにかく初見では絶対革製じゃんと。騙されたこのソールがいい。
革底ってかっこいいんだけど疲れる。こういうありそうでなかった機能美の視点に加えて、ビジュアルの良さにも拘るあたりが実は簡単ではない。まさに固定概念を破壊して、欲求を満たしてくれるモノ。
これらを加味して、本当に軽くて履き疲れしないグルカサンダルが誕生しました。白に至っては、廣瀬さんが肉抜き(パンチング加工)しているのでより軽い。走れますよ。本当に。


スタイリングの提案としては、MAATEE好きのあなた。各種スラックスに本当に相性の良い、現状被り知らずの足元をおすすめします。素足での着用はもちろん、ソックスオンもとても魅力的です。T.TやCOTTLEといった弊店セレクトのデニムパンツラインナップとも相性◎。革靴の顔をしているのでスタイリングを足元から引き締めてくれる。着用すると不思議と取り入れやすいこの新しいデザインはきっと話のネタにもなるでしょう。これは勝ったね。




ぼく?最近は少しデザイン性のあるボトムスと丈の長いトップスを合わせるのが気分なのでそこに素直にオン。日本の夏に向けてははもちろん5月から10月までエブリデイショーツとの組み合わせを楽しもうではないかと。しばらくはソックスオンでの着用もありですね。これに合う靴下探しの旅に出かけるとしよう。
さらに。

この期間は昨年同様に”MINEZO SPORTS SHOES”の第二弾受注イベントも催行します。前回のおかわりに加え、タイミング合わず買えなかった方もお待たせいたしました。
↓プロダクト詳細は、下記Blog内容を参考ください。
※記載されている日程は過去のものになりますのでご注意ください)
MINEZO SPORTS SHOES / 未来に残すべき一足
https://linn00.com/2024/05/08/minezo-sports-shoes-%e6%9c%aa%e6%9d%a5%e3%81%ab%e6%ae%8b%e3%81%99%e3%81%b9%e3%81%8d1%e8%b6%b3/
MINEZOも最近よく愛用しています。あくまでスニーカー解釈なので、家にあった古いconverseの少し汚いシューレースを装備させてみると、あら。アイボリーのシュータンなのでいい感じ。凄く気分な仕上がりですね。1年ほど色々試した結果、磨いたりせずにスニーカーと同様のラフな扱いがおすすめですね。銀色の革から茶芯の色が所々出てきたり、履きじわがあるぐらいの方が昨今の洋服とも合いますよ。標準装備のハーフラバーソールが付いて、トゥスチールはどちらでも。昨今のVintage sneakerの価格上昇率が凄くて、買っても履くのが怖い。ただ、過去の配色は様々な工夫や魅力的な背景があります。そんな文脈交えてオタクデザイナーの助言のもと、自分だけの1足を作成できる貴重な機会がまたやって参りました。
“6型 (新作のモカデザインあります) のモデルと様々な革”
※詳しいモデルの概要はとても詳しく書かれている公式サイトに飛んでください。
https://www.minezosportsshoes.com/
MINEZO SPORTS SHOESは最近海外進出もして、徐々に広がりを見せていますね。デザイナー自身の手作りゆえに需要が増えれば増えるほど手に入らなくなる。そんなアーティストの作るモノが今だからまだ触れられるとぼくは解釈しております。今回はどんな魅力的なデザインが生まれるか?楽しみですね。
全日デザイナーの廣瀬さんに在廊いただくので。ぜひ!!
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📖 MINEZO SPORTS SHOES / ORDER EVENT
🗓4/11(金) – 4/13(日)
平日 13:00 – 19:00
土日祝 12:00 – 19:00
☆全日 デザイナー廣瀬さん在廊予定
※MINEZO SPORTS SHOESは完全前払い制となります。
① フィッティング ・・・・・
足サイズの計測とヒアリングを行い、21.5cm~28.5cm ( 0.5cm刻み ) の15サイズの中からフィッティングサンプルを試着いただきます。木型の調整の相談も可能です。
② モデルの選択 ・・・・・・
各モデルからデザインを選択します。
③ 革と配色の選択 ・・・・・
アッパーの革を選択します。スムースレザーはフランスのデュプイ社やアノネイ社、ドイツのワインハイマー社などから。スエードはチャールズFステッド社や国産など多数取り揃えております。イメージを伺い、ビンテージアスレティックシューズの歴史に乗っとった配色の提案もいたします。
④ オプションの選択・・・・
ベルクロ・フラップ (モデル限定) / ¥10,000- (税込 ¥11,000-)
パンチング (モデル限定) / ¥8,000- (税込 ¥8,800-)
パイピング (サイクリストのみ) / ¥5,000- (税込 ¥5,500-)
トゥスチール(金属プレートをつま先に取り付け摩耗を防ぎます。)
¥4,000 (税込 ¥4,400)
専用シューツリー / ¥18,000 (税込 ¥19,800-)
追加シューレース / ¥1,000- (税込 ¥1,100-)
⑤ プライスの決定・・・・・
基本料金 ¥148,000 (税込 ¥162,800)
革の種類に限らず基本料金は一定になります。オプションを選択した場合、
基本料金 + オプション料金 + 税 が価格となります。
どなたでもご覧いただけるイベントとなっております。じっくりお時間を取りたい方は事前アポイントをおすすめします。ご興味のある方はメールor Instagram DMにご連絡くださいませ。
※飛び込み来店でのオーダーも可能です。
日程によってお待たせする可能性がございます。あらかじめご了承くださいませ。


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共に価格面のお話では現状まだお求めやすいのではないでしょうか?あるあるの値上げネタに巻き込まれる前の初手かつ自身のセンスを信じてお求めください。

”AKANISAI”プロジェクトに至っては靴だけではない。今後もっと面白い試みから生まれるプロダクトを我々に提供してくれるでしょう。大衆に気付かれる前に捕獲だー。
LiNN 大橋
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LiNN
🕛 Open hours
Thu , Fri / 13:00-19:00
Sat , Sun / 12:00-19:00
📍 153-0061 東京都目黒区中目黒3-22-11
(最寄り駅: 中目黒徒歩10分)
📩 Contact : info.linn.00@gmail.com
※開業日について
弊店は,中目黒と祐天寺の間
(駒沢通り添い)に辺る
ギャラリースペース S.AHN (サン)にて
各月14日間不定期に運営いたします
各月開業日は当サイトblogページまたはinstagramにてご参照ください
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